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経済

前途多難な日産「インド事業」

現地で敵を作る「二枚舌外交」

2011年6月号

「我々は二〇一〇年には商用車生産を開始し、輸出を含めて年間十万台以上の生産を目指す」
 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は四年前、インドでの商用車合弁締結の際に、意気揚々とこう述べた。世界戦略車「マイクラ」生産に続く「商用車」生産の開始でインド事業拡大に弾みをつけようとの狙いだ。
 同社は二〇〇七年十月、ロンドンを拠点にするヒンドゥージャ財閥傘下でインド商用車二位「アショック・レイランド」と提携、翌年五月、「車両」「部品」「研究開発」分野で合弁会社を立て続けに三社も設立した。計画は遅れながらも、ようやく今年三月末に軽トラック「DOST」(積載量一・二五トン)の披露にこぎつけ、「七~九月期にも販売開始する」と発表した。当面はアショック・レイランド側のインド南部ホスールにある既存工場で年産十万台を予定しているほか、チェンナイ近郊の新工場の完成で合計十九万台に達する。
 これは「かなりハイペース」(業界筋)だ。今や乗用車市場を上回る規模に成長した世界三位のインド商用車市場だが、クセの強い市場環境に外資はこれまで本格参入できずにいた。
 それだけに・・・