震災に「便乗」するトヨタ
これを機に生産海外移管へ
2011年6月号
東日本大震災から間もなく三カ月、自動車業界もようやく正常化の道筋が見え始めている。国内最大手のトヨタ自動車は二〇一一年三月期連結決算で、震災により一千億円を超える損害を出したものの、新興国の旺盛な自動車需要に牽引されて純利益が倍増したと発表。〇八年九月のリーマン・ショックやその後の品質問題による経営不振からの「復活」をアピールした。だが一二年三月期の業績見通しについては「震災の影響を算定できないため公表を見送った」と明言を避けた。関係者からは「今期の業績が悪いのは織り込み済み。震災被害はマイナス材料ではなく、かねてより工場の稼働率低下に悩むトヨタにとってはむしろ追い風に働く」との声が出始めている。
過剰生産力削減を図る
トヨタの一一年三月期連結販売台数は前期比一・〇%増の七百三十万八千台、売上高は同〇・二%増の十八兆九千九百三十六億円とほぼ横ばいだったが、本業の儲けを示す営業利益は四千六百八十二億円と三倍以上に増え、純利益も四千八十一億円とほぼ二倍になった。震災で大打撃を受けたにもかかわらず・・・