LNG調達で日本「一人負け」
永久に続く「高値買い」
2011年6月号
二〇一一年五月六日における菅直人首相の事前に根回しのないトップ・ダウンによる中部電力浜岡原子力発電所運転停止要請は、これまで余剰感の強かった国際天然ガス市場の需給関係を一変させようとしている。
インドネシア、タイをはじめ、年率一○%に迫る電力需要の伸びに頭を悩ませるアジア諸国にとって、浜岡原発停止のアナウンス効果は絶大で、各国は軒並み原子力発電計画の見直しを進める中で、次々とLNG(液化天然ガス)火力発電所建設を進めている。
こうした時ならぬLNG火力発電ブームは、だぶついている国際天然ガス市場に大きな活気をもたらしているのだ。
パイプラインのない唯一の先進国
本誌においても紹介したシェール・ガス革命によって、世界的に天然ガスは余剰感が強い。米国の天然ガス先物価格は、○八年夏には百万Btu(ブリティッシュ熱量単位)当たり十五ドル以上していたものが、現在では四ドル程度で低迷している。
それだけに、アジア市場におけるLNG火力発電強化の・・・