《世界のキーパーソン》トーマス・ドニロン(米国家安全保障問題担当・大統領補佐官)
中東政策で手腕問われる「政治屋」
2011年5月号
「お前は軍に信頼がない。もっと、海外で現場を見ろ」。国家安全保障問題担当大統領補佐官(NSA)の前任者、ジェームズ・ジョーンズは、後事を託すドニロン次席補佐官にこう言い残した。後継に選ばれて半年足らずで、リビア問題処理という、厳しい試練を迎えている。中東各国はどこも火薬庫状態だ。今月で五十六歳になる新補佐官は、いきなりミスが許されない状況に立たされた。
もちろん、海外経験はたっぷりあった。クリントン政権時代には、クリストファー国務長官の首席補佐官を務め、国務次官補(広報担当)にも就任した。オバマ政権発足前には、政権移行チームの国務省担当責任者だった。世界五十カ国以上を訪れている。
だが、海兵隊司令官や欧州連合軍最高司令官を歴任したジョーンズにとって、これらは表面的なものに映ったようだ。軍事介入という非常に重い決断(その進言)は、泥水を飲むような苦労を積み重ねて、初めて可能なことと、前任者は確信していた。もっとも、ジョーンズは、ドニロンの卓越した事務能力を買っていればこそ、あえて注文をつけたのだ。
オバマ政権入りする前は、常に選挙の最前線にいた。高校時・・・
もちろん、海外経験はたっぷりあった。クリントン政権時代には、クリストファー国務長官の首席補佐官を務め、国務次官補(広報担当)にも就任した。オバマ政権発足前には、政権移行チームの国務省担当責任者だった。世界五十カ国以上を訪れている。
だが、海兵隊司令官や欧州連合軍最高司令官を歴任したジョーンズにとって、これらは表面的なものに映ったようだ。軍事介入という非常に重い決断(その進言)は、泥水を飲むような苦労を積み重ねて、初めて可能なことと、前任者は確信していた。もっとも、ジョーンズは、ドニロンの卓越した事務能力を買っていればこそ、あえて注文をつけたのだ。
オバマ政権入りする前は、常に選挙の最前線にいた。高校時・・・