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社会・文化

《日本のサンクチュアリシリーズ》原子力村

解体は至難

2011年5月号

「日本の原子力業界全体を把握している人間なんていないのではないか。大きいこともさることながら、複雑すぎる」
 福島第一原子力発電所の事故以降、取材を続ける記者の言葉だ。
 最近、メディアでしきりと「原子力村」という言葉が使用されている。しかしこの業界は、知れば知るほど「見えない部分」の巨大さに気付かされる世界なのだ。
 制度の上で、この「村」を司るのは内閣府の原子力安全委員会だ。電力会社のように原子炉を持つ事業者を直接指導することはできないが、規制監督官庁(原子力安全・保安院や文部科学省など)を監視する立場にある。また、電力会社などへの調査権限も持つ。
 しかし、過去繰り返されてきた原発事故と同様、今回もその指導力のなさが浮き彫りになった。たんなる学者の寄せ集めであり、「原子力村」の指導者ではない。

「原発城下町」の拭い難い依存体質


「東京電力が日本の原発を主導してきたのは間違いない」
 原発や東電の取材を続けるライターの一人はこう語る。日本の商・・・