「一票の格差」正せぬ最高裁
政治と司法が「共犯」
2011年5月号
東日本大震災の惨状報道一色の中でメディアの扱いは決して大きくなかったが、三月二十三日、最高裁大法廷は二〇〇九年八月の衆議院総選挙における小選挙区の「一票の格差」訴訟において、「違憲状態」との判決を下した。しかし、是正のための期間が十分でなかったとして、選挙無効を求めた原告らの請求は却下した。
一九九四年の衆議院選挙制度の改革で、小選挙区比例代表並立制が導入されたが、このとき小選挙区の定数については、地域間の代表性に極端な格差が生じないようにするとして、定数配分には「一人別枠方式」制度が導入された。これは、まず各都道府県に一議席を配分し、その上で残りの定数を人口比で配分するものだ。
「一人別枠方式」の是非は、九六年十月の新たな選挙制度による総選挙以来、「一票の格差」訴訟の中心におかれてきた。だが、最高裁は九六年十月総選挙、二〇〇〇年六月総選挙、〇五年九月総選挙のいずれについても、二倍を超える「一票の格差」を「合憲」として訴えを退けた。「一票の格差」は二〇〇〇年六月の選挙が二・四七倍と最大だが、九六年選挙が二・三一倍、〇五年は二・一七倍。今回の判決の対象とされ・・・