トヨタの「下請け依存」が鮮明に
震災が浮き彫りにした新たな不安
2011年5月号
東日本大震災の影響により、一カ月以上の操業停止を余儀なくされたトヨタ自動車。四月十八日には、ようやく国内の全十四拠点で生産を再開したものの、稼働率は五割程度と本格稼働には程遠い。その理由は部品不足。「在庫を持たない」ことでムダを省くトヨタ生産方式の脆さは二〇〇七年の新潟県中越沖地震の時も問題になったが、東日本大震災によるダメージはその比ではない。数年ごとに起こる災害のたびに大きな被害を受けるトヨタ生産方式のリスクの高さが改めて浮き彫りになった。
「ただでさえ疑問符がついてきたトヨタの経営に、またしても不安材料が積み増しされた」と、自動車業界を担当する証券アナリストは指摘する。米ムーディーズは四月六日、同震災による業績悪化懸念を理由にトヨタの発行体格付けと無担保長期債務格付けを「Aa2」から引き下げる方針を明らかにした。同社は昨年四月、大規模リコール(回収・無償修理)問題を理由に格付けを「Aa1」から「Aa2」へ引き下げたばかりだ。
震災という不測の事態だけがトヨタの信用を落としているわけではない。米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は震災直前の三月四・・・