「ジリ貧」KDDIのお家事情
「四面楚歌」田中新体制のお寒い船出
2011年5月号
「KDDIはもうすでに業界三番手なんだ。それを前提に考えてくれ」――。
三月二十八日、東京・飯田橋のKDDI本社ビルのホールに主要管理職三百人が集められ、田中孝司社長(五十四歳)の檄が飛ばされた。昨年十二月、小野寺正社長兼会長の跡をついで社長に就任して四カ月。携帯電話のナンバーポータビリティー(MNP)による顧客移動ではソフトバンクとNTTドコモの両社から顧客を奪われ続け、加入者シェアは昨年の同時期に比べて〇・八ポイント減の二七・六%となり、ソフトバンクにあと六ポイントあまりと詰め寄られている(二〇一一年三月末現在)。
「もう少し早く危機感を煽るのならわかる。すでに振り向けば最下位というときに業界三番手と煽るのは鼓舞にもならない。ブラックジョークだ」。携帯電話販売部門のコンシューマ事業本部の幹部はこう冷笑する。
昨年九月、小野寺会長は突然の社長交代を発表し、田中氏にバトンを渡した。「スマートフォンへの出遅れが響いたことは率直に認める」とガラパゴス携帯へ固執した非を認めた。その代わりにガラパゴスから距離を置くソリューション部門出身の田中氏にバトンを・・・