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経済

空前の「深海油田」開発ラッシュ

息吹き返す欧米系石油メジャー

2011年5月号

 チュニジアに始まった反政府運動は、エジプトを経て、リビアに飛び火して泥沼化するに至り、もはや原油価格高止まりの長期化は、市場関係者にとって動かしがたい事実となった。リビアへの反政府運動の波及は、エジプトの政権崩壊とは異なり、国際石油市場に桁外れの影響力を持つ。リビアの原油生産量は日量百六十五万バレルと北アフリカではアルジェリアに次ぎ、軽質、低硫黄の高品質原油はイタリア、フランスなど欧州諸国に輸出され、ガソリン、ジェット燃料、軽油の原料とされていた。二〇一一年四月時点で、リビアの欧州向け原油輸出量日量百二十万バレルが完全停止するに至り、欧州の軽質原油は需給逼迫、国際指標原油である北海ブレント原油は一バレル百二十ドルを超えた水準で推移している。
 これに追い打ちをかけたのが東日本大震災である。日本における夏場の電力需要期に向けて、五百万キロワット以上もの石油火力発電所が稼働を始め、日本だけでも日量二十万バレルもの生焚き原油と重油の「特需」が発生する。国際エネルギー機関も、一一年の世界の石油消費量は日量九千万バレルと過去最高水準を予想している。
 こうした原油高止・・・