台頭する中国「軍産官複合体」
習近平時代の不気味な中核勢力
2011年5月号
東日本大震災が引き起こした東京電力福島第一原子力発電所の事故は、東アジアの国際関係を激変させた。米国が被災地救援に米空母を動員、強まる日米同盟に中国は敏感に反応した。とりわけ注目されるのが次の総書記と目されている習近平国家副主席と、その支持基盤である軍、石油産業の動きだ。中国が海洋覇権の方向に進むか、胡錦濤時代の全方位外交にとどまるかの岐路である。
海洋覇権志向というDNA
大震災から二週間あまり後の三月二十六日、またしても東シナ海で中国ヘリが日本の護衛艦に急接近して威嚇する事件が起きた。震災直前の三月八日にも同様の事件があり日本政府が外交ルートを通じて抗議していた。その矢先である。
当時、北京では国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が閉幕したばかりだった。全人代の最中、東シナ海の春暁ガス田(日本名は白樺)が生産段階に入ったという情報が中国の石油企業筋から流れていた。それで護衛艦はガス田の監視を強めていたのである。
ガス田問題で中国外交部は日中共同開発論に立ってい・・・