米欧に挑戦する新生「BRICS」
南ア加入でいや増す「存在感」
2011年5月号
ブラジル、ロシア、インド、中国の四新興国で構成する「BRICs」に、今年四月、南アフリカが正式メンバーとして加わり、新生「BRICS」が発足した。五カ国首脳は、アメリカのドル覇権に断固対抗する方針で一致し、国際金融改革で米政府に挑戦する姿勢だ。四大新興国の寄せ集めだったBRICsは、今や共通利害で結ばれた重要な国際機関に変貌しつつある。
四月中旬の首脳会議で、縁起好きのホスト国中国がこだわったのは、五の数字だった。会場となった海南島・三亜市は、五つの川の合流点にあるリゾート地。海南島にはほかに、五本の指の形状をした奇観「五指山」もあり、中国政府は「四大陸にまたがる、五大国の集まりにふさわしい」と自賛した。五カ国は現在、世界のGDP合計の五分の一を占め、人口では四三%に達する。会議場では、「G7(先進七カ国)」を念頭に、「G5」という言葉が頻繁に使われた。
世界経済の主役たちの再編成
協議内容も、中国政府の思惑通りに進んだ。共同声明「三亜宣言」で、米ドル基軸の現行の国際通貨制度を、・・・