サウド王家はいつまで持つか
米国は支えない
2011年5月号
民主化運動の嵐が中東世界全体を吹き荒れる中、どうしてサウジアラビアの王制だけが安泰でいられようか。エジプト大統領失脚後の一、二カ月、世界の耳目は欧米を巻き込む内戦と化したリビアの戦闘の帰趨や、巨大な抗議デモが衰えないイエメン、シリアなどの情勢に向けられた。しかし観測者がもっとも懸念し、かつ注視しているのはサウジアラビアである。
実際のところ今、王国は、あらゆる危機と革命に包囲されていると言っても過言でない。まずそれは紅海を隔てた西側からやってきた。チュニジアに続きエジプトでも民衆革命が爆発し、大統領が続けて失脚した。北側ではシリア、そしてヨルダンの民衆の怒りが渦巻いている。一方南に目を向けると、イエメンのサーレハ大統領が失脚寸前。加えて、国民が豊かな生活を送っているはずの産油国オマーンでも前例のない抗議行動が起きている。そして東はバーレーン。この国では多数を占める貧しいシーア派住民が、スンニ派の国王に機会均等と生活支援を要求して多くの死者を出す騒動になっている。同国王を強く支援しているサウジアラビアは、バーレーンに湾岸協力会議(GCC)の連合軍である「半島の盾」軍の・・・