独「緑の党」躍進の深層
二十年目にしての冷戦構造脱却
2011年5月号
アンゲラ・メルケル氏の後継首相は「緑の党」から――ドイツ最大部数を誇るビルト紙が四月十七日付の日曜版で報じた世論調査の結果は、ドイツ政界関係者を震撼させるものだった。
同紙の委託でエムニト社が実施した調査によれば、社会民主党(SPD)と緑の党の野党連合には四七%の支持が集まったのに対して、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)の与党連合の支持率はわずか三七%。もしこれが総選挙なら与党の大敗で政権交代だ。野党連合内では緑の党(二四%)がSPD(二三%)に僅差で勝ったから、理論的には緑の党から首相が選出される計算になる。戦後六十五年のドイツ政治史において首相を輩出できた政党はCDUとSPDの二つだけだから(シュレーダー前首相はSPD、メルケル現首相はCDU)、仮にこれが実現すればドイツ政治の大きな転換点となることは確実だ。
三党鼎立時代に突入
この「緑の党」首相論は、日増しに現実味を帯びてきている。既に党内では首相候補者の人選をめぐる議論が始まっており、SP・・・