米中関係に歩み寄りの兆し
双方とも対立するゆとりなし
2011年5月号特別リポート
米国際問題専門誌に「中国の台頭は戦争につながるか」との読者の目を引く見出しが登場する昨今である。過去一年半ほどの米中関係は悪化の一途をたどり、今年一月の米中首脳会談も表面はともかく内実は寒々としたものだった。が、国際情勢は決して単純には進まない。米政府は安全保障関係の閣僚をはじめ中国問題専門家人事の大幅な交替期に入った。予算総額三兆七千億ドルの約一九%を占める軍事費は七千億ドル。財政赤字解決のため、その二五%に当たる一千七百八十億ドルを削減する、とロバート・ゲーツ国防長官は言明した。イラク、アフガニスタンからの撤兵は日程が決まっているし、オバマ政権は世界中に伸ばした仕事の規模の縮小期に入っていると見ていいのではないか。
「台頭する」中国は、軍事費で世界第二位、国内総生産(GDP)でも日本を抜いて米国の次に位置したものの、高圧的対外政策は「あつかましい」(assertive)との非難を周辺国家からだけでなく、全世界的に浴びるに至った。加えて、芸術家で人権活動家として著名な艾未未氏(五十三歳)の拘束事件は、ノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏への冷淡な仕打ちを国の内外に想起させ・・・