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連載

続・不養生のすすめ4

マユツバ物の「メタボ対策」?
柴田 博

2011年4月号

「虚構の病」メタボリック症候群は、国民の健康と医療を歪める極めて悪質な問題である。先月に続いて今一度取り上げよう。
 わが国におけるメタボの診断基準は、次の通りとなる。
 まず、男性で腹囲が八五?以上、女性は九〇?以上であることが必須。加えて、?血圧が一三〇/八五?Hg以上、?中性脂肪が一五〇?/㎗以上またはHDLコレステロール四〇?/㎗未満、?血糖一一〇?/㎗以上、の三項目中二項目以上に該当する場合、メタボの診断が下ることになる。
 厚生労働省によれば、約二千万人がメタボ患者かその予備軍に該当するという。医療の巨大市場が、突如出現したわけだ。医療界や製薬業界にとっては、これほど有難い話はない。
 しかし、日本のメタボ診断基準は、虚血性心疾患になる率が高いかとか、死亡率が高いかとかを一切検討しないでつくられたものである。つまり、医学的根拠がないのだ。
 すでに、アメリカ糖尿病学会(ADA)とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)は、いかなる国のメタボ診断基準も「症候群」と呼ぶに値する科学的根拠は存在しないと明言。「メタボ症候群」との診断をすべ・・・