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社会・文化

悪評だらけの 「大建築家」安藤忠雄

世界の評価は「過去の人」

2011年4月号

 神戸市灘区にある神戸海星病院。神戸の街を一望する山の手にある同病院には、三つの弧状の棟からなる超高級介護付高齢者専用住宅「コンフォートヒルズ六甲」が隣接する。提携する神戸海星病院と一体化した日本初の医療・介護施設という触れ込みだが、最も大きな棟の場合、一億円以上の入居費と月約三十万円の管理費が必要で、そのあまりの桁外れな豪奢さゆえに、実はいまだ一割も入居していない。だがこの施設、関係者の間ですこぶる評判が悪いという。設計を手掛けたのは「世界のアンドー」こと、建築家・安藤忠雄だ。
 施設関係者の一人が語る。「高級介護付老人ホームの併設とあって、設計は著名な安藤さんに頼むことになった。たしかにコンクリート造り、アールを基調としたデザイン、白と茶で統一感はあるが、はっきりいって動線が長く、車椅子や足の悪い患者さんには苦痛でしかない。設計自体が施設を変に湾曲させているので、ナースステーションから病室が把握しづらく、患者の異変や訴えにすぐ気がつかない場合もあり、看護師を悩ませている」。
 さらに、施設内で多用されたスロープは車椅子では一人で上れず、一度でコーナーを曲が・・・