「復興消費増税」は実現するのか
決断できない菅政権
2011年4月号
自民党の谷垣禎一総裁が菅直人総理大臣に増税を説いたのは、東日本を巨大地震と津波が襲った二日後、三月十三日午後のことだ。震災復興への取り組みの背後で、「増税派」と「減税派」の最終戦争が始まろうとしていた。
会談後、谷垣は「災害復興支援法」(仮称)を与野党で作ることを提案したと説明した。同法を時限立法とする考えを示す一方、消費税率の引き上げも念頭にあるのかと問われると、「そこまでは詰めていない」と言葉を濁した。
この前後、谷垣の出身派閥である宏池会所属の逢沢一郎国会対策委員長はツイッターで、「臨時異例の措置だが、消費税一%で財源を確保したらどうか」とつぶやいた。関係者は「名称は何でもいい。入り口では時限立法と言うが、結局は消費税の恒久増税に落ち着く。震災対応が一段落したら、全額、社会保障に回せばいい」と解説する。
谷垣提案の背後には、財務省の影もちらつく。財務大臣経験のある谷垣を使い、野党側から敢えて有権者に不人気な提案を行い、躊躇する与党の背中を押す手法は、財政健全化法案を巡る攻防でも見られた。今回の提案には、財務省内でも「時期が悪い」と慎重論・・・