《政界スキャン》
出現待たれる「平成の後藤新平」
2011年4月号
人を得ることがいかにむずかしいか。政府が東日本大震災の復興事業を統括する「復興庁」(仮称)の創設を検討するのは当然として、陣頭指揮をとるトップにだれを据えるかがもっとも肝心だ。それにふさわしい器量と腕力のある人材がなかなか見つからない。
菅直人首相は自民党の谷垣禎一総裁に副総理兼震災復興担当相としての入閣を要請、断られたが、もし受けておれば、復興庁のトップには谷垣が座ることになったはずだ。教養派の谷垣が適役か疑問があり、菅がそこのところを慎重に熟慮した気配はない。国難突破のための「救国大連立内閣」の形を整える政局判断が先行して、震災優先とは思えない。菅の限界である。
ところで、大震災発生直後から、メディアでは後藤新平の名前がしきりに取り沙汰された。後藤に学べ、という趣旨である。言うまでもなく、後藤は一九二三年の関東大震災(マグニチュード七・九~八・二、死者・行方不明約十四万人)後に、首相直属機関として設置された帝都復興院の総裁に就任、大規模な首都復・・・