「臨界」に達した 官邸の機能不全
悪しき政治主導の「なれの果て」
2011年4月号
東日本大震災発生から間もない三月十二日未明の東京メトロ永田町駅。運行をようやく再開し、帰宅難民をさばくため終夜運転をしていた有楽町線のプラットホームに一人の大物政治家の姿があった。遅くまで震災対応に追われ、ようやく家路につこうと、いつ来るかわからぬ電車を一人待っていた。そこでハプニングが起きた。
酔っぱらいの男性が近付き、「どこかで見たことのあるような顔だけど、誰だっけ?」とからんできたのだ。「センゴクです」とささやいたが、男には聞こえなかった。「えーと、誰?」とさらにつっこまれ、大声で「セ・ン・ゴ・クです!」と答え、大勢の客が一斉に振り向いた。男は「おー、仙谷さんか。そうだ仙谷さんじゃない。しっかり頼むよ」と右肩をぽんと叩き、「菅直人はいったい何をしているのか」とまくし立てた。民主党代表代行の仙谷由人は遅れていた電車がホームに滑りこむまで「えぇ、えぇ」と低姿勢で相手するしかなかった。
これを伝え聞いた警察関係者は「震災直後の一種異様な雰囲気の中で、与党の幹部が単身で深夜に電車に乗るとは無防備にもほどがある。もし酔っぱらいに悪意があったらどうなったことか・・・