東京電力の福島第一原子力発電所事故では、政府や東京電力の初期対応の稚拙さが浮き彫りになったが、放水活動などに狩り出された自衛隊や消防庁の現場からは「主導権を握りたい経産官僚たちの暗躍ぶりに、うんざりだ」とのぼやきが聞こえる。ある政府関係者によると「震災対応で各省の政務三役が官邸を行き来する中、松永和夫経済産業事務次官自ら総理へのご進講にはせ参じるなど事務方の根回しが突出していた」という。

　最たる例は、東京消防庁ハイパーレスキュー隊の初出動時。準備段階では「消防車や放水用ホースを設置するために必要な情報を同庁に提供せず、逆に経産省が独自に策定した作業計画案が出てきて関係者を困惑させた」（事情通）という。

　組織的訓練を積んだ隊員らにとって、机上の配置案で動けば、それこそ命の危険にさらされかねない。それどころか、がれき処理まで同隊が担わされたことに、消防庁を管轄する片山善博総務相が激怒。「お前がこの作業車を運転してがれきを撤去してこい」と松永事務次官を怒鳴り上げ、独自案は取り下げさせたという。早くも原子力安全・保安院など関連機・・・