金正日を脅えさせる「高度情報化社会」
北の国民は「無辜の民」ではない
2011年4月号
北朝鮮の金正日、正恩親子は今、脅えている。中東や北アフリカで燎原の火のごとく燃え広がる民主化の嵐が、遠く離れた極東まで飛び火しないか気が気でない。外国メディアも、北朝鮮が「ジャスミン革命」に強い警戒心を抱いていることをしきりに伝えている。
二月に北からの提案で行われた南北対話に続いて、三月十五日には北朝鮮外務省が「六カ国協議でウラン濃縮問題を議題にすることに反対しない」と表明した。さらに、三月十七日には、白頭山の火山活動監視を合同で行うよう、韓国に申し入れている。矢継ぎ早に出される「歩み寄り姿勢」の裏には、むろん米国との対話を求める意図は存在する。しかし、北への潜入取材を続ける日本人ジャーナリストはこう指摘する。
「早急に現体制を固めなくてはならない事情がある」
米国の自由アジア放送(RFA)によると、今年二月、労働党幹部にだけ配布される「参考新聞」が、当時燃え上がっていたエジプトの動向を報じたという。デモの原因として、エジプト政府の経済政策失敗などを挙げた。しかし、幹部向けとはいえ長期独裁などについてはまったく触れられておらず、その分「中東情・・・