サルコジの青写真なきリビア攻撃
すべては「大統領再選」戦略の一環
2011年4月号
サルコジ仏大統領の猪突猛進が止まらない。リビアの反体制派組織「国民評議会」を主要国として初めて「リビア国民の代表」として承認してからわずか九日後、「中東の狂犬」カダフィ大佐を相手に戦争を仕掛けた。戦時に強い大統領の面目躍如だが、好戦姿勢の裏には、来年の大統領選に向けたしたたかな再選戦略が顔をのぞかせている。
揺らぐ政権基盤への焦り
三月十九日、パリ。対リビア武力行使を決めた国際首脳会議を取り仕切り、サルコジ大統領の顔面は紅潮していた。多国籍軍の最高司令官よろしく、「即時停戦し、市民を攻撃している部隊を撤退させなければ、軍事的手段に訴える」とカダフィ大佐に「宣戦」を布告。ほどなく仏軍ラファール戦闘機が空爆でリビア政府軍の車両を破壊、軍事行動が開始された。
パリ会議の顔ぶれを見るとサルコジ大統領の意図が分かる。欧州から欧州連合(EU)のファンロンパイ欧州理事会常任議長(大統領)や加盟国首脳が招かれた。一方、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長の姿はなく、会議声明でクリント・・・