米州財政問題は「危険水域」に
大統領選に向けた重要課題
2011年4月号
米国政府の財政赤字も深刻だが、各州政府の財政状況は「危険水域」に達している。歳出削減による行政サービスの著しい低下が進み、波及する地方自治体からいつ「米国版夕張市」が出てもおかしくない。さらに、保守系知事による民主党支持層潰しの動きも顕在化し、一気に最重要テーマとなっている。
金融危機後の景気低迷で所得税と消費税が落ち込んだ上、最大の歳入源である固定資産税も不動産価格下落で減収となったことが影響し、二〇一〇年度の財政赤字は全州合計で一千九百億ドルと過去最大となった。一一年度は連邦政府の財政支援もあり、一千三百億ドルと幾分減少したが、高水準にあることに変わりはない。
保守系知事の「労組潰し」
多くの州の会計年度は七月一日から始まる。あるシンクタンクは「一二年度も、歴史上、最も厳しい財政状況の年になる」と予想している。この予測では、五十州のうち四十四州とワシントンDCが赤字になると予想され、総額は一千百二十億ドルに達するという。
一見すると総額は減少するが、これは歳入が増・・・