水面下で進む「NEC処分」
メーンバンクの三井住友が画策
2011年4月号
その悲報がNECに届いたのは三月二日のことだった。特別顧問の西垣浩司元社長が自ら命を絶ったのである。享年七十二歳。
「そんな素振りはまったくありませんでした。『三月に腰の手術をしたら、ゴルフも一ラウンドぐらいは回れるようになるかな』と笑っていたんですから……」
かつての剛腕社長の呆気ない死に、NEC関係者は驚きを隠さない。西垣氏は一九九九年三月、防衛庁(現防衛省)水増し請求事件のスキャンダルと、一千五百億円超の最終赤字転落という経営危機の中で社長に就き、大幅なリストラを断行。その過程で対立した中興の祖、関本忠弘元会長(故人)を、骨肉の争いの末に解任したことで知られる。
しかし、晩年は剛腕社長の面影もなく、東大アメフト部時代の後遺症の腰痛に苦しんでいた。洗面所にも這っていくほどで、昨年秋、特別顧問に復帰したが、「長く座っていられないので面会は断っていた」という。最期に縊死を選んだとき、その脳裡に去来したものは何だったか―。
一月二十七日、中国レノボへのパソコン事業の事実上の売却を発表したNECに、ほどなく訪・・・