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経済

三菱UFJが ひた隠す巨額損失

手中に収めた子会社群が総崩れ

2011年4月号

「MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)は、まだ何か隠しているのではないか」。金融関係者らの間でこんな観測がしきりと囁かれている。
 グループ傘下のカード大手、三菱UFJニコスの巨額損失計上が明らかになった二月下旬。過払い利息返還損失引当金の積み増しなどで今年三月期の最終赤字は前期の四百六十二億円から大幅に膨らんで、一千九十億円にものぼる見込みだ。激しく劣化した資本基盤の立て直しに向けてMUFGは三月末、共同出資者の農林中央金庫と合わせて一千億円の追加資本支援を迫られたのは周知の通り。だが―、それでも「勘定が合わない」(三井住友銀行幹部)のだ。

地雷原は三菱UFJモルスタ


 二〇一〇年四~十二月期決算。MUFGは五千億円としている通期の業績目標を上回る、五千五百十八億円余の最終利益をたたき出した。にもかかわらず、「様々な不確実性が存在する」として予想数値の増額修正を見送っている。仮に今年一~三月期も第3四半期までのような状況が継続するとすれば、単純計算で七千四百億円近い純益が見・・・