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経済

円高は「G7」でも止まらない

ヘッジファンドを利する「五つの材料」

2011年4月号

「まあ、一九九五年の『神戸』の時も地震の一週間後のG7で円安に合意していたし、今回の円売り介入も読みには入ってはいたよ」
 別に意外性はなかったと強がりを見せたのは、ある大手ヘッジファンドの運用担当者だ。三月十七日に一ドル七十六円二十五銭の史上最高値がついた後、G7緊急会議で円安への介入が容認された。つれて円安に転換している。
「実は三月早々には、日本経済の回復を見込んで優良株をかなり仕込んでいた。これらを東北大震災のニュースを受けてブン投げしたんだ。こっちの方が痛かった、実のところを言うとね。挽回しなくっちゃ」(笑)。その上でこの運用担当者は、多国籍軍の空爆でもリビア情勢に改善が見られないことなどを材料に、「原油価格もまた上昇しそうだ。原油の先物買いは続ける」と断言した。
 今、ヘッジファンドはどこも有卦に入っている。二〇〇八年にピーク時比五千億ドル以上の急減を見た運用資産は、どこも急増。かれこれ一年近く資金流入が続いている。今年末までに過去最高水準を更新しそうだ。

「成功」が忘れられない

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