国費を掠め取る「劣化私大医学部」
学生の質に問題あり
2011年3月号
医学部を持つ大学は全国に八十校ある。このうち私立大学は二十九校で、学生数(医学部)では三七%を占める。六年間で「医者の卵」を養成するのに必要な費用は、高額な学生納付金で賄われていると思われがちだが、私大医学部にも多額の国費が投入されていることはあまり知られていない。
そして問題は、医学部を卒業後医師になったにもかかわらず、親の病院・医院を継いで開業医になるケースが圧倒的に多いことだ。特に受験における学力レベルの低い私大医学部にこの傾向が強い。親の資力に恵まれ私大医学部に入学し、国がかりの医学教育を受けたにもかかわらず、「医師の偏在と不足」というこの国が抱える問題解決に役立たない。さらに、こうした大学では、少なくない数の六年生時の留年が発生している。これでは「税金泥棒」の誹りは免れないだろう。
増加する「卒業留年」
医学部を持つ私大二十九校が加盟している日本私立医科大学協会(医大協)は、加盟校の平均決算額を公表している。それによれば、平成二十一年度の私立医大一校当たりの収支決算は平・・・