甦る「水の都」東京
「架橋百周年」日本橋再興のカギ
2011年3月号
竣工間近となった東京スカイツリー、その話題が昨今絶えない。高さ六百三十四メートルの東京スカイツリー周辺では、話題性にあやかろうと再開発が熱を帯びるが、一方タワーの足元では、忘れ去られていた北十間川が注目されるようになった。周辺の墨田・江東地区では、水路を活用した産業・観光振興の取り組みが浮上し、船を使った交通も検討されている。
東京スカイツリーが押上地区に決定した要因として、展望台からの眺めが鍬形恵斎の描いた江戸鳥瞰図の視点と一致することが参考になったようだ。この鳥瞰図は、江戸が「水の都」だった証しを克明に描き込んだ名画である。全体の構図手前には太く横たわる隅田川が存在感を示し、奥に描かれた富士山はまるで江戸の市街のすぐ近くにあるかのように大きい。デフォルメされた二つの景観要素の印象が際立つが、もう一つ隅田川から江戸城に向かう日本橋川が現状の幅を無視するかのように太く大きく描かれている。
家康の壮大な景観ビジョン
この水の都を体現してきたのが、ほかならぬ日本橋地区である。その象徴・・・