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経済

「単独行」選んだ神戸製鋼

ユニークな多角化メーカーの勝算

2011年3月号

 新日本製鐵と住友金属工業が合併を発表した。二〇〇二年にNKKと川崎製鉄が合併してJFEホールディングスが誕生して以来の鉄鋼再編劇となるが、すでに予想されていた合併であり、ニュースとしての新鮮さはあまりない。むしろ今、内外の鉄鋼メーカーや産業界が注目しているのは神戸製鋼所の今後だ。
 神鋼は新日鐵、住金と三社で株式持ち合いなど業務・資本提携をしており、流れでいけば三社合併になってもおかしくはなかった。そうならなかったのは神鋼の経営が新日鐵、住金と大きく異なる構造を持っていたからだ。神鋼の連結売上高に占める鉄鋼部門の比率は四六%と半分以下。八四%の新日鐵、八六%のJFEと比べれば、異なる業態といってもおかしくない。
 粗鋼生産量(二〇一一年三月期見通し)自体も七百六十万トンと新日鐵の三千二百三十万トンの四分の一以下の規模にすぎない。合併で五千万トン近い粗鋼生産能力を持つことになる新日鐵・住金連合にとって神鋼を加える意味は規模拡大の面では決して大きくはなかった。
 こう言えば、神鋼は鉄鋼再編の潮流に取り残された会社の印象があるが、実態は異なる。神鋼は鉄鋼・・・