《企業研究》JCB
三菱進駐軍の足音に怯える
2011年3月号
一月二十五日、全国紙朝刊に奇妙な内容の全面広告が掲載された。「佐藤氏」と「鈴木氏」がレストランで会話し、旧知の間柄にもかかわらず佐藤氏が鈴木氏を本人ではないと疑う。だが、鈴木氏がカード決済してサインしたとたんに疑惑が氷解する。すると今度は逆に鈴木氏が相手を佐藤氏本人ではないと言い出す、というショートストーリー。文章の最後はこう結ばれる。「これまでも、これからも、僕を僕にする、僕のカード。JCB」。この日、一九六一年から数えて創立五十年の応当日を迎えたジェーシービー(JCB)の五十周年記念広告である。
世界十七カ国に六千七百五万人の会員と一千七百三十六万加盟店(一〇年九月末)を有する誇り高き“サムライカード”を自負するJCB。同社にしては、いささか拍子抜けのする「これからの」決意表明ではあり、そのかつての栄光が忘れられかけている今にあっては、単なる「意味不明」のメッセージとなったのではないか。
かつてクレジットカードの国際ブランド事業ではVISA、マスターに次ぐポジションにいたJCBだが、今ではこの二強には全く歯が立たず、それどころ・・・