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経済

トヨタを失速させた「創業家の罠」

章男社長よ目覚めよ

2011年3月号

 昨年初め、トヨタ自動車は悪夢のなかにあった。最大の市場である米国で乗用車のアクセルペダルの不具合や謎の急発進問題で、史上最大のリコールを余儀なくされ、米メディアの執拗なバッシングを受けていた。二〇〇九年六月に就任したばかりの豊田章男社長は米議会公聴会で詰問されたうえ、米グループ会社の会合で涙を流す映像が世界のテレビで流れた。
 それから一年。 米運輸省は「レクサス」などの急発進の原因とされた電気系統について「問題は見つからなかった」とする調査書を公表、トヨタの名誉は回復された。だが、今のトヨタには〇八年に米ゼネラルモーターズ(GM)を抜いて世界最大の自動車メーカーにのし上がった時の勢いは感じられない。早くも頂点を越え、下り坂に入った空気が漂う。
 実際、トヨタの業績には勢いがない。一〇年度もグループ全体の世界販売は八百四十二万台と三年連続で世界トップの座を守ったが、経営破綻から回復しつつあるGMにわずかに三万台の差にまで詰められた。三位の独フォルクスワーゲン、四位のルノー・日産グループも激しく追い上げている。リコールの影響を受けなかったはずの欧州市場(二十七・・・