《罪深きはこの官僚》三國谷勝範(金融庁長官)
金融監督行政を麻痺させた張本人
2011年3月号
民主党政権による政治主導を忠実に遵守している官僚トップがいる。金融行政を担当する金融庁長官の三國谷勝範である。なにしろ、外部に対して、めったに個人的な意見を開陳することすらない。記者たちとのオフレコベースの会話でも「ノーコメント」を連発。政治主導の下での没個性といえばそれまでだが、一方では、政治家からの要望、指示には徹底したイエスマンぶりを発揮する。
このイエスマンぶりが遺憾なく発揮されたのが、昨年六月に政府が打ち出した新成長戦略だ。評価の低い成長戦略にあって、ひときわ内容が乏しかったのが金融分野であった。それもそのはず、「成長戦略に盛り込めるものを提出せよ」という大塚耕平内閣府副大臣(当時)の「鶴の一声」で慌てて項目を羅列した代物だったからだ。「中小企業へのコミットメントラインの提供」「銀行へのファイナンスリースの解禁」など、業界も「なぜ?」「いまさら何を」と眉をひそめる愚策ばかりをもっともらしく並べた。金融庁トップとして金融行政に責任感の一片でもあるならば、成長とは無関係な一夜城作りに内心忸怩たる思いを抱いただろうが、三國谷周辺にはその気配すらない。ある金融庁幹部は「・・・
このイエスマンぶりが遺憾なく発揮されたのが、昨年六月に政府が打ち出した新成長戦略だ。評価の低い成長戦略にあって、ひときわ内容が乏しかったのが金融分野であった。それもそのはず、「成長戦略に盛り込めるものを提出せよ」という大塚耕平内閣府副大臣(当時)の「鶴の一声」で慌てて項目を羅列した代物だったからだ。「中小企業へのコミットメントラインの提供」「銀行へのファイナンスリースの解禁」など、業界も「なぜ?」「いまさら何を」と眉をひそめる愚策ばかりをもっともらしく並べた。金融庁トップとして金融行政に責任感の一片でもあるならば、成長とは無関係な一夜城作りに内心忸怩たる思いを抱いただろうが、三國谷周辺にはその気配すらない。ある金融庁幹部は「・・・