イスラエルで急増するユダヤ教「超正統派」
世俗派との「内なる暗闘」
2011年3月号
イスラエルが国内人口比率の変動に揺れている。統計学者の最新の調査によると、同国で昨年生まれたユダヤ人の新生児の三〇%がユダヤ教超正統派の子供と推計され、超正統派人口の増加がとりわけ顕著になっているためだ。周辺を敵国に囲まれたイスラエルは男女を問わず徴兵する「国民皆兵」の国だが、ユダヤ教を追究する敬虔な超正統派は例外的に兵役を「免除」されている。アラブ世界で無二の友人だったエジプトのムバラク政権が崩壊して中東情勢に不穏な空気が漂う中、イスラエルの世俗的な一般市民の間では、国家の安全保障に関わる「義務」を果たさない超正統派への不満もくすぶっている。
閣僚でさえ「首都」に住めない
故ラビン氏らイスラエルの歴代首相が眠るエルサレム西部の名所・ヘルツルの丘に近い新興住宅街。ここは家賃が安く、移民や若者に人気だったが、近年、町の表情は大きく変貌している。黒い帽子に黒いスーツを着込んだユダヤ教超正統派の人々が、こぞって移り住んできたからだ。隣接する別の住宅街では同様にして超正統派が流入した結果、もともと住・・・