ロシアに翻弄される日本
北方領土返還どころの話ではない
2011年3月号特別リポート
群狼の咆哮の前で震えている子羊と形容するほかない。尖閣諸島沖の領海を中国漁船に侵犯され、海上保安庁の巡視船が衝突されたというのに中国の言うがまま船長を釈放する情けない外交ぶりを世界の前で露呈してしまった。と思ったら、北方四島の国後島にメドベージェフ大統領が日露外交始まって以来初めて国家元首として訪れ、フランスからロシアが購入することになっている強襲揚陸艦を北方海域に配備するという。
これまでの日露間の外交上の実績を滅茶滅茶にする暴挙を何故ロシアは傍若無人に実行し始めたのだろうか。
菅直人首相ら日本側当事者の片言隻句をとらえてロシアが大袈裟に怒りまくっているのは、日本がいかにも思慮あり気に、「ねばり強い交渉で」とか「ソフト・パワーを利用して」などの空虚な言葉を吐く裏づけの力など全くないことに気付いたからではないか。
それでも日米同盟が強固であれば手は出せない。が、民主党政権に沖縄の普天間基地問題で煮え湯を飲まされた米国にはいまだに対日不信感が残っているのを中露両国は読み取っている。それだけではない。米国の反捕鯨団体に過ぎないシー・シェパード(S・・・