《日本のサンクチュアリ》「偽装農家」
日本の農業を蝕む元凶
2011年2月号
あまりにも長すぎる保護農政の中で、農業技術の発展と徹底した機械化により、日本の稲作は週末の片手間作業だけで生産が可能な、極めて特異な営農形態として独特な進化を遂げた。
もちろん稲作農家の中にも、大規模営農や、規模は小さくとも有機栽培など付加価値の高い農業を手掛ける有能な経営者が活躍していることは否定しない。輸出競争力を持つ果樹や野菜、効率化が進んだ畜産など、保護農政とはまったく無縁の、強い農業部門も多い。
しかし、保護農政に寄生してきた名ばかりの稲作農家、すなわち、「偽装農家」あるいは「疑似農家」などと呼ばれる連中が、現実の農政を歪めている最強の抵抗勢力となり果てているのは紛れもない事実である。
彼らの既得権益を支えるのは「農地」と「コメ」と「農協(JA)」だ。この三つの聖域に切り込まない限り、日本の農業に未来はない。
農地はリスクのない宝くじ
「偽装農家」がはびこる最大の要因は、彼らが手にする利権、つまり「農地」の存在だ。固定資産税は軽減され、相続税もゼロ・・・