「独占体への回帰」へNTTが始動
法改正で規制の軛が外される
2011年2月号
「虎を野に放つようなものだ」
通信業界からは、そんな不安と怨嗟の声が聞こえてくる。
NTTグループの組織形態をめぐる総務省・有識者タスクフォースの議論は、周知のとおり、ソフトバンクの孫正義社長が画策する「光の道」構想が退けられ、光回線の「機能分離」に終わった。NTT東西のボトルネック設備部門の人事・会計・情報の遮断を厳格化し、光回線利用の公平性を担保することで競争促進を図る内容だ。
これに伴い、今通常国会には「電気通信事業法」「NTT法」など関連法の改正案が上程される。NTT東西では一月二十一日、この国会での審議に先立って、今後三年で光回線接続料を最大三一%引き下げると発表、競争促進に前向きな姿勢を印象付けた。
しかし、今回の法改正には、そんな小手先の競争促進策など吹っ飛んでしまうような、とんでもない「隠し玉」が潜んでいる。NTT東西の「活用業務」を届け出制へ緩和する法改正こそ、NTTグループが密かに目論む独占回帰のシナリオにほかならない。
「活用業務」という禁じ手
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