《企業研究》第一生命保険
暴走する「裏工作部隊」
2011年2月号
「今頃なぜ?」と思った人も多いのではないか。昨年十一月末、第一生命保険は最大六千件、金額で三億七千五百万円の新たな不払いがあった、と発表したのである。生保各社にとって過去の話となったはずの不払い問題。第一生命も二〇〇七年十月に約七万件、総額百八十九億円の不払いを公表しケジメをつけたはずだったのだが……。
最大六千件、金額で三億七千五百万円というこの数字。公益通報(内部告発)によって、小誌に寄せられた第一生命の膨大な内部資料によると、実はこれはまったく事実ではなく、少なくとも四十億円を上回る計算になる。不払いのことは頬被りし続けようとしたのだが、追加の請求案内と公表を金融庁に強いられ、苦し紛れに虚偽の数字を発表した、ということのようだ。
さらにいうと三年前に公表した七万件、百八十九億円も同様。第一生命は未だに公表していない膨大な不払いを隠蔽し続けている。上場企業として考えられないことが現在進行形で起きているのだ。
大手生保で唯一の上場企業でまかり通る、契約者(=株主)を欺く明白な背信行為。信じ難い異常事態が示すガバナン・・・