「公家の凸版」に目立つ「綻び」
売り上げトップ奪還はなるか
2011年2月号
凸版印刷は昨期(二〇一〇年三月期)の決算の売上高(一兆五千六十七億円)で大日本印刷(一兆五千八百三十三億円)に僅かにかわされた。〇四年にトップに立って以降、その地位を守っていただけに、小さいながらも確かな躓きだ。凸版は今期(一一年三月期)の決算予想で売り上げを、一千億円以上増の一兆六千百億円としている。しかし、大日本(一兆六千四百億円)にはあと一歩及ばないとみられている。この躓きの原因はどこにあるのか。
現在、昨年六月に就任した金子眞吾社長の経営手腕に、社内外から疑問符が投げかけられている。また、トップ陥落の原因の一つとして、本業である「印刷」における綻びも指摘されている。
「電子書籍」で出遅れ
金子社長は昨年、「印刷界のカリスマ」と呼ばれた前任者、足立直樹氏からバトンを引き継いだ。同社長は近年、凸版の「脱・紙印刷」の分野で名前を売ってきた人物である。〇八年には、米デュポン社と太陽電池向け部材事業提携を結んだ。昨年にはカシオ計算機と中小型ディスプレイ事業(有機EL、TFT液晶)を・・・