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経済

柳井ユニクロ「失速」の真相

海外展開に勝算見えず

2011年2月号

 衣料品業界だけでなく、国内の小売業全体でみても圧倒的な強さを誇ってきたユニクロ(ファーストリテイリングが経営)が大きな岐路を迎えている。メディアや株式市場では昨年秋以降の国内の不振に関心が集まっているが、内需が縮小する日本では当然の帰結であり、問題の本質ではない。ユニクロが直面する最大の課題は、柳井正会長兼社長が社内に檄を飛ばしつつ急加速する海外事業展開に「勝利の方程式」がみえないことなのだ。
 ファーストリテイリングの二〇一〇年九~十一月期の連結決算は売上高が前年同期比五%減の二千五百九億円、営業利益が一八%減の四百九十八億円、純利益が三五%減の二百二十七億円という減収減益となった。続く十二月も既存店売り上げは一五・五%も落ち込み、五カ月連続で前年同月比マイナスとなった。一〇年通年でみれば既存店売り上げが前年同月を上回ったのは三カ月しかないという惨憺たる状況だ。
 ファーストリテイリング側は〇九年のヒートテック・ブームの反動、大ヒット商品の不在といった原因を指摘しているが、明らかに少子高齢化に伴う国内市場縮小の大波が、強いコスト競争力と群を抜く商品開発力を・・・