東欧「無法国家」に苦悩するEU
市場拡大を急いだ「ツケ」
2011年2月号
欧州連合(EU)の新規加盟組である東欧諸国に、「EU基準からは到底認められない」(バローゾ委員長)問題が噴出している。ブルガリアが、犯罪組織が牛耳る「マフィア国家」化したのに加え、ルーマニアは、自国民や周辺諸国民の人身売買の「欧州センター」になってしまった。バルカン半島は今やEUの犯罪の火薬庫である。
根っこは共産党時代の治安機関
二〇一一年のブルガリア政界は、激震で幕を開けた。「ガレリア」という週刊誌が、ボイコ・ボリソフ首相の電話盗聴記録を掲載したのだ。この中で首相は、税関長に対して、ビール会社経営者の脱税捜査を打ち切るよう命じていた。
「俺はもうあいつに手を出さないと約束した」と言う首相に、税関長は「しかし、財務大臣は『おれがこの件を仕切るから、しっかりやれ』と言われました」と粘った。
「いいか、おれがそう言った以上は、手を出さないんだ。財務大臣に電話して、そう伝えろ」と首相が語気を荒らげると、税関長は「承知しました」と従った。
生々しい内容から見て、出所・・・