《日本のサンクチュアリ》箱根駅伝
歪んでしまった「国民的行事」
2011年1月号
毎年一月二日、三日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。これを見ないと新年を迎えた気がしないという人も多いだろう。
「最近の箱根駅伝はあまりに肥大化しすぎて、弊害も多い」
関東の大学陸上部関係者の一人はこう批判する。いまや「国民的イベント」となった箱根駅伝は、さまざまな歪みを日本の男子陸上界に生み出している。そして、そうした歪みの結果として、有能な選手をスポイルし、日本の男子マラソンが勝てない要因となっているという最大の「疑惑」がある。
有能な選手の「関東偏在」
関東では従前より人気のあった箱根駅伝が、今日のように全国的な人気を博した原因はひとえに日本テレビの中継に依るところが大きい。一九八六年大会(第六十二回)までは、テレビ東京がダイジェスト番組として制作し、鶴見中継所からゴールの大手町までの最終十区のみを生放送していた。翌年から、日テレが全区間生中継というかたちで放映を始める。当時を知る日テレ関係者はこう語る。
「難関は箱根の山を走る五区。技術・・・