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社会・文化

「オホーツク流氷」への招待

一度は見ておきたい景観

2011年1月号

「来たか」「まだだ」「いまどこさ?」「あのあたりだべ」
 オホーツク海沿岸に住む人たちが流氷を語るとき、歓迎しているばかりでもないが、放蕩のドラ息子の帰りを待ちわびるような、暮らしになじんだ温もりがある。
 東の根室から北の稚内まで、約四百キロにおよぶオホーツクの海岸線は、険しい火山列が海に突き出す知床半島を除き、直線に近いゆるやかな砂浜の海岸線を描く。流氷は年が明けると次第に北海道に近づき、一月中下旬には接岸することが多いが、年による変動も大きい。
 英語で「ドリフト・アイス」、漂う氷と呼ばれるように、流氷の動きは速い。風と潮の流れ次第で、青い海がみるみる白く埋め尽くされたり、あるいは、海岸に乗り上げた氷塊を残して、一夜で姿を消したりもする。
 海辺の住人は「朝、流氷が来たのは布団の中でもわかる」と言う。凍った海は波の発生を抑え込み、あれほど轟いていた海鳴りを静めてしまう。波音が消え、代わりにキーンと耳鳴りがするほど静かに「しばれる」朝。それが、流氷が北海道にたどり着いたときだ。

冷たく浅く薄い海

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