インド「スズキ王国」に暗雲
「盟友」VWに裏切られ
2011年1月号
「スズキとフォルクスワーゲン(VW)はイコールパートナーだ」
鈴木修・スズキ会長兼社長がこう語った世紀の提携から早一年。その誇らしげな自信も今ではただ虚しく響くばかりだ。ことに、スズキのドル箱であるインド事業をめぐる昨今の情勢をみると、両社の関係はイコールパートナーとはほど遠い。
同社インド子会社「マルチスズキ」は乗用車国内販売シェアで五〇%を占め、その貢献度は今やスズキ連結営業利益の七割に達する。現在、インドの自動車販売は歴史的な成長局面にある。九月は対前年比で三〇%増、十月が三八%増、十一月が二一%増。二桁成長は実に十七カ月連続で、年率では三〇%前後の成長が続いている。この沸騰市場で他社を圧倒するスズキ王国は、表向き絶頂を極めているのは間違いない。しかしその裏で、王国の城壁にはじわじわと侵食が進んでいる。
札束攻勢で「販売網荒らし」
「もう、クルマの置き場がないんですよ」
スズキ関係者が笑いながら話す。デリー近郊の同社グルガオン工場とマネサール工場の二工場・・・