岐路に立つオランダ「大麻」政策
EU共通市場の大原則と「衝突」
2011年1月号
専門店での大麻の販売・使用を条件つきで認めてきたオランダの寛容政策に変化が生まれている。欧州司法裁判所(ルクセンブルク)は二〇一〇年十二月、オランダに住民登録していない人の専門店への立ち入りを禁止するマーストリヒト市の条例を支持する判断を示した。これをきっかけに、オランダ司法省は同じ規制を国として導入することを検討している。
マーストリヒト市はオランダ南部に位置し、ベルギー、ドイツ、フランスのいずれからも簡単に立ち寄れる。
市が大麻の販売・使用を公認した「コーヒーショップ」は、中心部の繁華街に堂々と並んでいる。駐車に便利な川沿いの店は、週末は周辺国からの客で混雑し、大麻の甘ったるいにおいが店の外にも漂っている。
店の奥のカウンターで、若い男性スタッフが数種類ある大麻の違いや値段の説明をしてくれた。「ここですぐ吸っても、持ち帰っても、何の問題もない。コーヒーだけ飲むのでもOKだけど」と話した。
市内に計十四店。多くの店の店内表示は、オランダ語、フランス語、ドイツ語、英語の四カ国語。ポーランド語など別の言語も加えて独自性を出す店もある・・・