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WORLD

米国が「国際新秩序」づくりへ

カギ握るインド

2011年1月号特別リポート

 二〇一一年の国際社会はどうなるのだろうか。冷戦後に出現した米一極時代、その中で日本、中国、ロシア、英国、ドイツ、フランスなどの主要国が重要な役割を演じた舞台が一回りして新しい国際秩序が誰の目にもはっきり出現することになろう。いまから十四年前の一九九六年にハーバード大学の故サミュエル・P・ハンチントン教授は名著『文明の衝突と世界秩序の再編』の中で、文明間の勢力均衡は変化し、「いわゆる西側の勢いは比較的に衰退し、イスラムは人口的に増大、アジア文明なかんずく中国は経済的に支配的な国となる」と予測した。
 文明に勢力均衡論を採り入れたハンチントン論は新鮮だったが、いま米国の「相対的衰退」が懸念される中で、「台頭してきた中国」は自ら唱えている「平和的台頭」ではなく、近隣諸国を威圧するような言動で国際社会から奇異の念をもって見られる存在となってきた。その中国を追っているのがアジアにおける「インドの台頭」だ。尖閣諸島沖で生じた中国漁船による海上保安庁巡視船衝突事件は日本に衝撃を与え、南シナ海を実効支配しようとの中国の試みは東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国に、中国への強い警戒心を生んで・・・