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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》公安調査庁

存在意義のない「無能官庁」

2010年12月号

 行き詰まりを見せる民主党の「事業仕分け」に最適のターゲットがある。長年にわたり「リストラ官庁」「霞が関の盲腸」などといわれながら、延命してきた「公安調査庁(公安庁)」だ。いまだに霞が関にのうのうと存在していること自体が驚天動地である。基本的な情報収集能力すら欠落するこの無能官庁を、これ以上存置させる必要はない。
「どうしてロシアの動きがとれなかったんだ」
 十一月上旬、首相官邸で、「イラ菅」こと菅直人首相はいつにも増して苛立っていた。相手はモスクワから急遽呼び戻された河野雅治駐ロシア大使ではなく、公安庁トップの北田幹直長官だ。同庁幹部が打ち明ける。
「十一月一日の朝、ロシアのメドベージェフ大統領が国後島を電撃訪問したのに、うちは事前にキャッチできなかったんだ。今回は『それでも情報機関か』とひとしきり、くさされたんだよ」

無理な「公安よろず屋」への脱皮


 ここに公安庁の存在意義にもかかわる問題が隠れている。それを知るために、少し歴史を繙く。
 公安庁が設置・・・

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