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経済

中国にのめりこむ日産

ゴーン氏の「功名心」が命取りに

2010年12月号

 二〇〇九年に米国を抜き、世界最大になった中国自動車市場だが、一〇年も引き続き成長を続け、前年実績の一千三百六十四万台を大きく超える一千七百万台を達成するのは確実な情勢だ。この高成長市場を世界の大手自動車メーカーが見逃すはずはない。各社とも中国での生産増と販売強化を打ち出している。その中でも最も野心的な計画を打ち出したのが、カルロス・ゴーン社長率いる日産自動車だ。
 一〇年九月二十日、ゴーン社長は中国現地合弁会社の鄭州日産汽車第二工場の竣工式で「中国における日産の年間生産能力を現在の六十七万台から、一二年には百二十万台に拡大し、成長著しい中国の自動車市場の需要に対応する」と発表したのだ。これには競合他社も驚いた。といっても、「やられた!」ではない。「日産は大丈夫なのか?」との反応がほとんどだ。ここにきて早くもその野心の前に暗雲がたちこめつつある。

ありえない前提の計画


 中国自動車市場では米ゼネラル・モーターズ(GM)系と独フォルクスワーゲン(VW)系の現地生産会社が高いシェアを維持し・・・