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経済

綱渡りの丸紅「油田・ガス田漁り」

「戦略なき拡大策」に危惧の声

2010年12月号

「良い条件で、いい権益を買うことができた」。史上最悪の原油流出事故を起こした英石油メジャーBPから、米メキシコ湾岸の四つの深海油田・ガス田(原油日量換算で一万五千バレル)を六億五千万ドルで買収する契約を十月二十五日に取り付けた丸紅幹部の感想だ。権益取得の手続きは年明けにも完了の予定で、これにより同社が全世界で権利を持つ原油・天然ガスの生産量は同五万バレルとなる。それは米国の中堅石油企業並みの規模に相当し、数字の上では丸紅は「一人前」の資源企業に躍り出る。
 四鉱区のうち「ズィア鉱区」では六五%の権益を取得し、日本企業としては異例の主操業者(オペレーター)として操業全体を取り仕切る。言うまでもなく石油・天然ガス開発の世界では、権益にマイノリティーで参加しても旨みは少ない。オペレーターのリスクを取って初めて大きな利益が得られる。しかもメキシコ湾の油田・ガス田はBPの金城湯池だった地域。事故さえなければ売却話など浮上しなかった。その点で、並み居る国内外のライバルを出し抜いた商社業界五位の丸紅の動きは見事だった。同社の資源エネルギー部隊は今、有頂天になっているという。
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