《企業研究》日揮
絶好調の陰の不安
2010年12月号
その業態ゆえに一般にはイメージしにくい企業だが、日揮ほど深く、広く資源国や新興国にネットワークを広げている企業は少ない。日本ではプラント御三家といわれ、千代田化工建設、東洋エンジニアリング(TEC)と並び称されてきた。しかし、二〇〇九年度決算を比較すると、受注高は日揮の約七千三百億円に対し、千代田化工は四千三百億円、TECは一千三百億円、純利益は日揮の二百七十一億円に対し千代田化工二十九億円、TEC七十一億円と差が開いている。目下、主力のプラント事業でも絶好調。〇九年度はアルジェリアやアラブ首長国連邦(UAE)の大型ガス処理プロジェクト、豪州とニューギニアの液化天然ガス(LNG)プロジェクトなどにより、同年度末の受注残高は過去最高レベルの一兆円超となった。
近年、プラント市場においては千代田化工が三菱商事の傘下に、TECも三井物産の傘下に入り、それぞれ親会社の世界戦略に徐々に組み込まれるのに対し、どの企業グループにも属さない日揮は逆に独自色を強めている。〇九年に参加を決めた中国での海水淡水化事業や、今年に入っての豪州水道事業会社の買収はその典型だが、新事業領域への戦・・・