菅政権で傷口広がる「日米同盟」
米下院は「対日強硬」に傾く情勢
2010年12月号
横浜APEC(アジア太平洋経済協力会議)の機会に行われた十一月十三日の日米首脳会談は、日中、日露関係を巡る喧騒が突出していたせいか、相対的に好意的に評価された。米政府当局者も、米国と距離をとりたがった鳩山由紀夫前総理大臣と比べ、「やっと日本が仲間に戻ってきた」と菅直人総理大臣を評価する。だが、その前後の菅や民主党議員の言動を振り返ると、「同盟深化」という言葉が上滑りする実態が見えてくる。
「中国、ロシアとの関係でいろいろと問題があった中で、一貫して米国がサポートしてくれたことに御礼を申し上げた」
バラク・オバマ大統領との共同記者発表で、菅が用意されたメモにない一言を口にした瞬間、日本政府高官は凍り付いた。中露の反発や、「米国依存」批判を招きかねない不用意な発言だったからだ。「やはり、外交が分かっていない」と嘆いても、後の祭り。そして、はからずも飛び出した菅の「本音」には、「放っておいても米国は日本を助けてくれる」という虫のいい期待感がにじんでいた。
「待つのは普天間の固定化」
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